介護保険を賢く上手に使って介護リフォーム
高齢になり足腰が弱くなってくると、自宅で快適に暮らしていくための家づくりが必要となってきます。
国民生活センターに寄せられた医療機関ネットワーク事業に参画された医療機関からの事故報告をまとめた資料によると、高齢者の事故発生場所は77.1%が家庭内となっています。
自宅で過ごす時間が長いからこそ、しっかりとした安全対策が快適で安心な毎日を送るためには大切だからこそ、介護が必要になり在宅生活を選ぶのであれば、しっかりと介護リフォームをしておけば安心です。
介護保険では、高齢者の在宅生活における負担を少しでも減らすために、住宅の介護リフォームへの補助がありますので、介護認定を受けている人は利用することができますので、早め早めに、必要に応じたリフォームを検討してみましょう。
介護保険で受けられるリフォーム補助とは?
ご自宅を介護リフォームしたいと思ったら、まずは介護保険制度を利用した公的補助を活用することを検討しましょう。
申請すれば住宅の改修にかかる補助が最大20万円まで、1割の自己負担で利用できます。
この上限の20万円は、一度に使い切る必要はなく、数回に分けてリフォームを実施することも可能です。
また、要支援や要介護のランクが3段階以上あがった時や、転居した時などは、改めて20万円まで補助を受けることができます。
市区町村によっては、独自で上乗せの補助をしているところもありますので、お住まいの窓口で確認してみてください。
介護保険による補助以外にも、バリアフリー住宅への支援制度としては厚生年金や国民年金による「年金在宅ケア対応住宅・年金バリアフリー住宅資金貸付制度」などもありますので、年金生活者は考えてみてもいいかもしれません。
介護リフォーム補助の申請・手続き方法
工事の前
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ケアマネージャーと相談
担当のケアマネージャーに相談し、身体の状態や住居の状況に応じて必要な工事を把握してもらいましょう。
(事前申請にはケアマネージャーの「住宅改修が必要な理由書」が必要になります。) -
施工業者の決定・見積依頼
信頼できる業者を選びましょう。
複数の業者を比較検討するのも良い方法です。 -
市への「事前届出書」を提出
着工前に、事前届にかかる書類一式を市の介護福祉課へ提出します。
〈書類一式〉住宅改修費事前届出書・住宅改修が必要な理由書・見積書・着工前の写真(日付入)・完成予定図・平面図など
工事の後
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工事費の支払い
工事完成後、施工業者に工事費の全額を支払います。
市への「支給申請書」を提出
支給申請にかかる書類一式を市の介護福祉課へ提出します。
〈書類一式〉住宅改修費支給申請書・工事費内訳書・完成後の写真(日付入)・領収書の原本(宛先に利用者本人の名前が入ったもの)住宅改修費の支給
市の審査後、20万円を限度に工事費の9割(18万円まで)が支給されます。支給申請書に記載された口座(原則利用者本人の口座)に入金されます。
介護保険によるリフォーム費補助の対象者と条件
リフォーム費補助が受けられるリフォーム内容と条件
内容 | 条件 | 適用外となるケース |
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手すりの取り付け | 廊下、便所、浴室、玄関などに設置するもので、 取り付け工事を伴うもの |
福祉用具貸与に該当する 手すりの設置 |
床の段差解消 | 居室、廊下、便所、浴室、玄関などの各室間の 床の段差の解消 |
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滑りの防止、移動の円滑化 等のための床材の変更 |
車いすに向かない畳や、歩行時に滑りやすい床 などを、フローリングや固い床材などに変更 |
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引き戸などへの扉の取替え | 開き戸を引き戸、折り戸、アコーディオンカー テンなどに取り替える ドアノブの変更、戸車の設置なども対象 |
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洋式便器などへの 便器の取替え |
和式便器から洋式便器に取替える場合のみ対象 | 洋式便器から洋式便器への 取替え |
介護保険を利用した介護リフォーム補助を利用するには、条件があります。簡単に言えば、改修するのが自宅であること、要介護認定を受けていること、改修する自宅に住んでいることが要件となっていますので、在宅で介護生活をされている方はほぼ問題なく利用することができます。
また、介護保険が適用となる場合、対象となるリフォーム内容には様々な条件がありますので、事前にその条件を満たしているのか確認をしておきましょう。
内容を見てみると、リフォームであれば何でも適用されるのではなく、あくまでも要介護者が生活しやすいようにすることに限定されています。例えば洋式トイレから洋式トイレへの取り替えには補助がきかなかったり、手すりを取り付ける際にも手すりが福祉用具貸与に該当するものであれば利用できなかったりします。
車イスを使うようになって、畳の部屋が使えなくなった…、お風呂の段差を解消して安心して入浴できるようにしたい…というような場合には補助を利用することができますので、担当ケアマネージャーさんに相談してみましょう。